「軽貨物を“自分の事業”としてしっかり育てたい」 「将来は法人化して、複数台や仲間と一緒に運営したい」
そんな“本気で稼ぐ・拡げる”ための選択肢が、起業・法人化型の軽貨物ドライバーです。
この記事では、軽貨物8業態シリーズの最終回として、個人事業から法人化する働き方の流れ、収入、必要な準備、メリット・リスクまでをリアルに解説します。
起業・法人化型とは?|個人の配送事業を“ビジネス”として育てる
個人で軽貨物配送を始め、ある程度収入が安定してきた段階で、事業拡大や節税のために法人化するスタイルです。
特徴:
- 開業届提出→個人事業主→法人化(合同会社 or 株式会社)
- 配送を自分で行いつつ、他のドライバーにも仕事を振ることが可能
- 自社案件開拓・提携企業との契約など“経営者的活動”も必要
つまり、「ドライバー」から「事業主」へとステップアップする選択肢です。
始め方の流れ
- 軽貨物ドライバーとして個人でスタート(開業届)
- 安定した収入や経験を蓄積(目安:月商50万円〜)
- 税理士・行政書士などと法人化の準備
- 法人設立(登記・口座・会計体制など整備)
- 法人として配送・営業・マネジメント業務をスタート
初期費用の目安(法人化時)
項目 | 費用目安 |
---|---|
法人設立費用 | 約10万〜25万円(合同会社が安価) |
顧問税理士・会計ソフト | 月額1〜3万円前後 |
保険・法定備品・名義変更など | 約3〜10万円 |
合計 | 約15万〜40万円前後(登記+事業整備含む) |
※個人事業主としての初期費用(車両・保険など)は別途必要
収入の目安と働き方
- 1人でフル稼働+法人節税活用:年収400万〜600万円前後
- 複数台稼働(協力者・下請含む):年商800万〜1,500万円以上も可能
- 業務委託元・請負企業との契約拡大型:安定売上+成長性
実力・営業力・管理力に応じて、収入上限を広げられるのが特徴です。
メリット|“自分の会社”としての自由と可能性
- 節税・信用・契約面で法人のメリットが大きい
- 軽貨物業を自分のブランドで運営できる
- 車両追加・人材確保・業務拡大など将来性がある
- 「雇われない・自分で決める働き方」が実現
デメリット|責任・事務・リスクも“社長の仕事”
- 確定申告・会計・税務処理の手間が増える
- 法人化後は社会保険など負担が大きくなる可能性あり
- 赤字でも維持コストが発生(顧問料・事務費など)
- 営業・取引先交渉など“経営者的業務”の習得が必要
向いている人・向かない人
起業・法人化型が向いている人:
- 収入をさらに伸ばしたい・節税も視野に入れたい人
- 軽貨物を本業としてビジネス化したい人
- 将来的に仲間や家族と一緒に運営したい人
合わないかもしれない人:
- 事務作業や契約手続きが苦手な人
- まずは小さく始めたい・副業レベルを希望する人
- 安定重視でルールが決まった働き方を求める人
他の働き方との比較(ざっくり)
比較軸 | 起業・法人化型 | 赤帽 | FC型 | 地域委託 | アプリ型 |
自由度 | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ |
安定性 | △〜○ | △ | ◎ | ○ | △ |
収益性 | ◎ | ○〜◎ | ○ | ○ | △〜○ |
初期費用 | 高め | 高め | 高め | 中 | 低 |
事業性・拡張性 | ◎ | △ | ○ | △ | △ |
続ける人・離れる人、それぞれの声と背景
続ける人の声:
- 「個人では限界を感じたので法人化で次のステージへ」 → 税制面や信頼性向上など、事業拡大のための手段として選択。
- 「家族と一緒に事業を始めたかった」 → 法人化によって雇用・連携・共同経営が可能になった。
- 「案件もドライバーも自分で動かせるのがやりがい」 → 経営視点に立つことで、収入と働きがいの両立が見えてくる。
離れる人の声:
- 「想像以上に事務と管理が多くて大変だった」 → 配送業務と経営業務の両立が難しく、原点回帰した人も。
- 「法人化しても収入が伸びなかった」 → 案件不足・人材難・管理ミスなどで逆に苦しくなるケースも。
- 「家族の事情や健康面で縮小を決断」 → 大きくしたからこそのプレッシャーを手放した選択もある。
次に選ばれるパターン:
- 赤帽や地域型で“1人での心地よい働き方”へ戻る
- 他業種への転換・事業売却・再就職など新しいステップへ
まとめ:“走る”を事業にする——本気で生きる人の選択肢
起業・法人化は、軽貨物ドライバーのキャリアの中でも“最も自由で、最も責任のある道”です。
誰かに雇われるのではなく、仕事を創る側になる。 自分の判断で未来を切り拓いていく。
それは確かに大変な道ですが、その分だけ得られる自由と成果は圧倒的です。
「軽貨物を一生の仕事にしたい」 「仲間と一緒に大きくしたい」
そう思ったときにこそ、起業という選択肢が本当の意味を持ちます。
ここまで8回にわたるシリーズを最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
軽貨物という働き方の中には、想像以上に多くの選択肢があり、それぞれに合った道があります。
「もっと自由に」「もっと安定を」「もっと大きく」──あなたが描く未来に向けて、今回のシリーズが少しでもヒントになれば幸いです。
そして、もし今、「次の一歩」を考えているなら。 その決断を、心から応援しています。
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